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骨盤臓器、尿疾患

骨盤臓器脱(性器脱)

骨盤臓器脱(性器脱) 骨盤臓器が下垂し、腟から脱出する状態です。脱出する臓器よって、子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤、小腸瘤、腟断端脱などと呼ばれます。 出産や閉経、加齢、咳や便秘などの慢性的な腹圧が原因で骨盤底が衰え、骨盤臓器を支持できなくなることで発症します。

骨盤臓器脱の症状

「陰部に何かが触れる」「歩く時に何かが擦れて痛む、歩きにくい」「飛び出した物が出たり入ったりする」といった症状が現れます。その結果、姿勢が悪くなり腰痛を引き起こしたり、外出を控えて家にこもりがちになったり、ロコモティブシンドローム(移動能力の低下)を引き起こしたりするようになります。

治療方法

保存療法

保存療法 まずは骨盤底筋体操と生活習慣の改善を行いましょう。
肥満の方は減量し、便秘の解消も重要です。
骨盤底筋体操は最低でも3ヵ月続けることをお勧めします。
骨盤臓器脱は骨盤底筋やその他内臓を支持する筋肉の緩みが原因で、薬で改善することはできませんが、排尿障害や排便障害の症状を緩和することは可能です。
保存的治療としては、ペッサリー(リング)の挿入や、サポーターなどの医療機器で陰部を圧迫して脱出を防ぐ方法があります。しかし、これらの治療は対症療法であり、根本的な治療にはなりません。

手術

完治させるには手術が必要です。
膣から子宮を摘出し、膀胱-膣間の筋膜や、直腸・膣を支える筋肉を補強する方法などがとられます。

尿漏れ・尿失禁

尿漏れ・尿失禁 尿失禁は、意識とは関係なく尿が漏れてしまう状態です。40歳以上の女性の40%以上が経験しており、実際に悩んでいる方も少なくありません。しかし、羞恥心から我慢している方も多くいらっしゃいます。状態や原因に合った治療法がありますので、1人で抱え込まずに当院までご相談ください。

尿失禁の種類

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁は、重い荷物を持ち上げたり、走ったり飛んだり、咳やくしゃみをしたりした時など、お腹に力がかかった時に尿が漏れる状態です。女性の尿失禁の中で最も一般的で、週に1回以上経験している女性は500万人以上とされています。これは、尿道括約筋を含む骨盤底筋群が緩むことで発症し、加齢や出産がきっかけとなることが多いです。また、重労働や排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を傷める原因となります。

切迫性尿失禁

切迫性尿失禁は、急に強い尿意を感じて我慢できずに尿が漏れたりする状態です。トイレが近くなったり、トイレに駆け込むことが多くなったりするため、外出中や乗り物に乗っている時に支障をきたすケースが多いです。
通常、排尿は脳からの指令によってコントロールされていますが、脳血管障害などでその働きがスムーズにできなくなることがあります。しかし、多くの場合、特に原因がないのにもかかわらず、膀胱の収縮が勝手に起こり、尿意切迫感や切迫性尿失禁を引き起こすことがあります。男性では前立腺肥大症、女性では膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱によって起こることがあります。

溢流性尿失禁

溢流性尿失禁は、自分の意思で尿を出したいのに出せず、少しずつ漏れてしまう状態です。何らかの排尿障害があることで発症し、代表的な原因としては、男性特有の疾患である前立腺肥大症が挙げられます。また、直腸がんや子宮がんの手術後に、膀胱周囲の神経機能が低下することで発症するケースもあります。

機能性尿失禁

排尿機能に問題がなくても、身体運動機能の低下や認知症によって尿失禁が起こることがあります。例えば、歩行障害のためにトイレまで間に合わない場合や、認知症のためにトイレで排尿できない場合がこれに当てはまります。
このタイプの尿失禁の治療には、介護や生活環境の改善が必要です。

治療方法

症状の度合いや、日常生活への影響に合った治療法を行います。
主な治療法には、骨盤底筋体操、行動療法、薬物療法、手術(TVTスリング手術、TOTスリング手術)などが挙げられます。
切迫性尿失禁のケースでも、骨盤底筋体操や行動療法、薬物療法が実施されます。混合性尿失禁の場合は、症状に応じてこれらの治療法を並行して受けていただきます。

頻尿

頻尿 尿意切迫感を主な症状とし、頻尿や切迫性尿失禁を伴う症候群と定義されています。尿意が頻繁にあり、トイレに行きたくなると我慢できない、またはトイレに行く前に漏れてしまう場合は、頻尿が疑われます。

治療方法

行動療法や薬物療法などを実施します。

過活動膀胱

過活動膀胱 尿意切迫感(突然の強い尿意)を主な症状とし、頻尿や切迫性尿失禁を伴う症候群と定義されている病気です。尿意が頻繁にあり、トイレに行きたくなると我慢できない、またはトイレに行く前に漏れてしまうことがあります。

治療方法

行動療法

生活指導(肥満や便秘の改善、食事指導など)、骨盤底筋訓練(女性の尿道、腟、肛門周囲の筋肉を高めるトレーニング)、膀胱訓練(尿意を耐えて膀胱の容量を増やすトレーニング)などを行います。

薬物療法

軽度から中等症の症状を抱えている患者様に対して、行動療法の補助として使用されます。薬理作用としては、膀胱平滑筋の異常収縮をコントロールし、尿道括約筋の収縮力を高める薬や、膀胱平滑筋を緩めて膀胱の貯尿量を増やす薬などを処方します。